ご挨拶
こんにちは、パーソルビジネスプロセスデザイン(株)データサイエンス部の分析チームです。パーソルビジネスプロセスデザイン(PBD)は2024-25シーズン中、パートナー企業としてチームを支えるだけでなく、試合の分析を支援することでチームをデータ的な側面からもサポートをさせていただきました。今回「データで振り返るTUBCの2024-25シーズン」という題でコラムを掲載させていただくことになりました。ブースターの皆さんにもこちらのコラムをご覧いただきながら今シーズンのTUBCの活躍を思い返していただき、来期に向けた「青援」への想いを新たにしていただければ幸いです!
はじめに
本コラムではTUBCにとって大きな飛躍のシーズンとなった2024-25シーズンを勝率と各種スタッツに着目し簡単に振り返っていきたいと思います。
2024-25シーズンをデータで振り返る
2024-25レギュラーシーズンは過去最高の2位(昨シーズン7位)で終える結果となりました。早速B3リーグ全チームの勝率グラフで2024-25シーズンを振り返ってみましょう。
※縦軸が「勝率(%)」、横軸は「試合開催週」になります。
TUBCはシーズン途中勝率が下がるタイミングがあるものの、勝率は7割以上の高い水準を維持しています。最終的に43勝9敗(勝率:82.7%)で首位横浜EXに2試合差と肉薄する形でレギュラーシーズンを終えました。レギュラーシーズン前半はクラブ初の13連勝を達成、連勝記録を塗り替えたことも話題となりました。レギュラーシーズンの中盤は年末から年始にかけてケガによる選手の離脱もあり、選手一人当たりの負荷が増え苦しい期間だったかと思います。しかし勝率を大きく下げることはありませんでした。レギュラーシーズン後半は勝利を積み重ねるだけでなく、最終節は首位横浜EXに2連勝するなど、最後まで盛り上がりに欠けることはないシーズンだったかと思います。
結果的にレギュラーシーズンを2位という高成績で終え、TUBCはプレーオフに進出します。しかしプレーオフでレギュラーシーズン7位のアースフレンズ東京Zに惜敗する形となりました。これまでのスタッツなどのデータから見ると、レギュラーシーズンでは大きく順位が離れている両チームだったこともあり、「データに照らすと勝利の可能性が高い」と見ていました。しかし、実際にはプレーオフは1勝2敗と負け越してしまい悔しい結果となりました。分析時を振り返るといわゆる「平均値の罠」にはまってしまってスタッツの全体傾向だけ見て、安心してしまっていたと思います。
慢心も命とり。プレーオフの難しさを分析者としても味わうこととなりました。一方で何が起こるかわからないからこそ、1つ1つのプレーに感動が生まれ、おもしろいのだというバスケ、スポーツの魅力に一観客として気づくことができたと思います。
※平均値の罠:極端な値や偏ったデータ分布が平均値に影響し、実際の状況を誤って反映すること
スタッツから見るTUBC
次にTUBCの各種スタッツからチームの特徴を見てみましょう。
こちらは各主要スタッツのレーダーチャートになります。
※【2PM】2ポイントシュート成功数, 【3PM】3ポイントシュート成功数, 【FTM】フリースロー成功数, 【OREB】オフェンスリバウンド数, 【DREB】ディフェンスリバウンド数, 【AST】アシスト数 【STL】スティール数 【BLK】ブロック数
※グラフのデータは2024-25レギュラーシーズンのみの戦績を使用しています
※青色チャートがTUBC、灰色チャートがB3リーグチーム全体の平均値になります
※数値はB3リーグの各スタッツ項目の平均値を5点として規格化した指標を値として用いています
レーダーチャートから、2PM, OREB, STLがB3リーグ所属の他チームより特に際立っていることがわかりますね。これらの項目について、それぞれ解説していきたいと思います。
2PM:成功した2ポイントシュートの本数
2PMはTUBCがリーグトップの成績でした。(1試合あたり平均23.4本でリーグ1位)インサイド陣の支配力が際立ちます。特にオフェンスリバウンド後の押し込みや、速攻からのフィニッシュが多く、成功率も高水準でした。2Pがオフェンスの主軸であり、今季の得点効率を支えたといえるでしょう。
OREB:オフェンスリバウンドの回数
OREBはリーグ2位(1試合あたり平均15.1本)でした。インサイド陣によるゴール下支配が要因です。ミスショット後もインサイド陣がリバウンドに絡み、セカンドチャンスを得点に結びつける構造が確立されていました。全試合通じて安定しており、TUBCの攻撃における核となっていたといえるでしょう。
STL:スティール(相手からボールを奪うこと)の回数
STLもリーグ1位(1試合あたり平均12.5本)で、まさに全員守備の象徴とも言えます。川島選手を中心に、ガード陣が積極的にパスカットや1対1の守備でボールを奪取。ハードなディフェンスとチーム全体の意識が相まって、高い数字を記録しています。スティール後の速攻も多く、攻守の好循環を生んでいたいといえるでしょう。
今回、TUBCのチームとしての特徴を2PMやOREB、STLといった項目で紹介しました。ブースターの皆様におかれましてはよく耳にするような解説で、特段新鮮味もなかったかもしれません。上記のような項目を軸に行う分析はチームの戦略を実行できているかを確認するために有用な数値・分析といえるでしょう。
やはりより深く知りたいのは、チームとしての戦略がこれだけ明確で広く知られて対戦相手も対策などしてくる中、上記にあるようなスタッツの数値をいかに積み上げて勝つのか、またそれを可能にする要因は何なのか、それを探索し定量化できないかということです。今後分析チームとしても「勝つための分析」をより深めていきたいと思います。
まとめ
2024-25シーズンはTUBCにとってクラブ史上最も安定した成績を収めたシーズンとなりました。開幕から好調なスタートを切り、勝率7割以上を維持し続け、終盤にかけては連勝を重ねながら勢いを保ち、最終的には勝率82.7%という素晴らしい成績でリーグ上位に名を連ねました。この高い勝率の背景には、いくつかの際立ったスタッツがあったといえます。特に目を引くのが2ポイント成功数(2PM)とオフェンスリバウンド(OREB)、そしてスティール(STL)です。また、守備面でも大きな成果が見られ、STLではリーグ最多の1試合当たり平均12.5本を記録しました。チーム全体が一体となって高い守備意識を持ち、相手のパスやボール運びを積極的に狙い、ターンオーバーを誘発するスタイルが定着したことが、この結果につながっていたといえるでしょう。今シーズンTUBCは、成績のみならず、地域に愛されるチームとしても大きく飛躍したといえるでしょう。今後もチームの成長に期待を抱かずにはいられません!
おわりに
※有明アリーナで同僚の皆さんとホームゲームを観戦、ブースターの一員として一生懸命「青援」をおくりました!
来シーズンもTUBCの活躍を楽しみにしております。